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2024.08.30お知らせ

社会学研究室企画展『続・混合の地域:社会学と写真 記録のその先に』開催レポート

2024年7月5日から7月24日まで、中央大学文学部社会学研究室において企画展『続・混合の地域:社会学と写真 記録のその先に』を開催いたしました。

研究室単独での展示企画は初めての試みでしたが、多くの方にご鑑賞をいただきました。

ご来場の皆様、開催にあたってのご協力をいただいた皆様、誠にありがとうございました。


本レポートでは、展示風景や来場者のご感想などを紹介いたします。

※7月11日(木)のトーク会の様子は別途掲載予定


室内テーブル全景


会場構成

本展は、史涵さんが2024年5月に大久保地域センターで開催された『混合の地域:大久保老舗物語』の写真パネルや動画、大久保関係の本学教員・卒業生の研究成果、大久保地域コミュニティ「共住懇」の出版物などで構成しました。

以下の会場MAPと展示の序文をご参照ください。


 ※MAPは会期最終日時点のもので、パンフレットに掲載の内容とは一部異なります。

大久保関係の資料展示

中央大学文学部・文学研究科社会学専攻と大久保の関係の始まりは1990年代にまで遡ります。日本の都市社会学の分野で大きな業績を残された奥田道大(おくだ・みちひろ)先生は、前任校である立教大学社会学部への在籍時から取り組まれていた新宿・池袋エリアでの調査を、1993年に中央大学文学部社会学科へ移籍してからも継続されました。社会学研究室には奥田ゼミの残した膨大な調査記録がモノグラフとなって残されています。2000年代に社会学専攻へ入学し、これらの記録を紐解きながら大久保で調査をはじめた卒業生は、都市社会学・地域社会学の研究者として活躍しています。このような歩みをお伝えすべく、奥田先生のご著書や業績の紹介パネル、大久保の地域コミュニティ「共住懇」の出版物、卒業生の博士論文・著書、史涵さんがフィールドワーク時に使用された資料(会期後半に追加)なども併せて展示しました。


奥田道大先生のご紹介

(左)奥田先生の翻訳書、(中央)シカゴ都市社会学古典シリーズ、(右)奥田ゼミの調査報告書

大久保の地域コミュニティ「共住懇」のご紹介

卒業生の出版物


史涵さんの写真展示

写真展「混合の地域:大久保老舗物語」のパネルを再度展示しました。また、被写体となった4つの店舗(関西風手打ちうどん伊予路、アイヌ創作料理ハルコロ、大久保スタジオM、中華料理興福楼)の方々が写真展を訪れた際の様子をパネルにし、今回初展示しました。

室内には、過去の写真展で展示されたり、展示の候補にあがっていた写真の中から、様々な国籍の人が行き交う現在の大久保の様相が伝わるものを展示しました。


廊下壁面

廊下壁面

廊下壁面(大久保地域センターでの写真展の様子)

室内壁面(大久保の街)

老舗4店の3Dモデルと動画(会期後半に追加)


パンフレット

史涵さんが撮影した大久保の猫たちを表紙にしたA5版のパンフレットを、会期の前半と後半で5種類ずつ配布しました。うち1種類のデータを公開致します。ぜひご覧ください。パンフレットA


カラーが中心のA~Eバージョン全てモノクロのF~Jバージョン

来場者の皆さん

一般の方、学部生、院生、卒業生、教員、職員、書店関係者など、様々な方のご来場がありました。

社会調査の経験がまだない1年生、ゼミに所属し始めたばかりの3年生、これを機に久しぶりに連絡を取り合った卒業生、職員の方、書店の方…。院生が社会学研究室内での授業の前後に奥田先生ゼミの調査報告書を手に取ったり、たまたま訪れた他専攻の先生や学生が展示に目を留めて関係著書を借りていくこともありました。

一般来場では、史涵さんの写真展に何度も訪れている方や、大久保地域の在住者、他大学の講師の方、「共住懇」関係など、多種多様な方にお越しいただきました。

また、廊下の通行者も時折足を止めて展示を鑑賞したり、室内を覗いたりしていました。

※卒業生の写真はXにも掲載しています。


2017年度卒業生のみなさん。終始和気あいあいと展示を鑑賞していました

展示会中もカメラを手放さない史涵さんじっくり鑑賞する学部生

2018年度卒業生のお二人史涵さんと会話しながら隅々まで展示を鑑賞していました

一般の方が多く来場された最終日の様子

史涵さんが懇意にされている映画監督・俳優の歌川恵子さん(左)、アジア食材専門店「AsianMeal」経営者の海野陽子さん(右)


来場者の方のご感想

会場に設置したアンケート用紙やGoogleフォームで集まったご感想の中から、一部をご紹介いたします。


・個人的に新宿や大久保に興味があったのと、ゆっくり写真を見たいと思ったので来ました。見たことのある景色も白黒の、自分の目ではなく写真という状態で見ると印象がちがうなと思いました。静かに、ゆっくり見ることができました。アイヌ料理のお店、中華のお店、実際に行ってみたいと思いました。わずかな時間でしたが、お話できてよかったです。ありがとうございました。調査報告書もおもしろかったです。知っている場所、知らない人、知らない言葉を見られて、「調査」ってこんなものなのだなぁと知れたし、自分の記憶とのつながりがあってとても興味深かったです。(社会学専攻1年)


・変容していく大久保を、写真という形で記録する。写真には複数の人が映っているが、写真には映らない人も含めた人間関係が築かれているのだろうと想像させられた。変容しているのは大久保という空間だけではなく、その中に存在する人間関係もまた然りだ。店内に雑多に残された物から、去っていった人々の存在を感じさせる。写真を見ていたら、大学での生活が急に儚いものに思えた。大学も、私も、私を取り巻く人間関係も変容していくのだから、大学での日常の写真を積極的に残していきたい。(社会学専攻3年)


・卒業生です。こういう形で母校にもどってこれてうれしく思います。貴重な機会をありがとうございました。(卒業生)


・この会を通じて、久しぶりに大学を訪れ、旧友やシカンさんにお会いできました!写真はもちろん素晴らしく、暖かい気持ちになったと同時に、とても懐かしい気持ちになり、大学生に戻りたくなりました。笑 このような機会をありがとうございます。(卒業生)


・モノクロの写真がもつ情報量の多さにおどろきました。被写の生命力が画からはっきりと伝わってきます。変わりゆく街と世代の貴重な記録性と芸術性をかねそなえた迫力ある写真群でした。室内丸テーブルの書籍のレイアウトと飾り方が素敵でした。(職員)


・廊下の写真に目を引かれて、拝見させて頂きましたが、壁の写真展示だけでなく、研究室での参考資料、文献の展示や、冊子など、立体的というか、さまざまに工夫を感じられて、とても楽しく見させて頂きました。冊子も5種類あるということもトーク会の時に知り、それもまた上がるポイントでした。社会学×〇〇という視点は、いろいろな切り口で聞いてみたいと思いました。今回写真を社会学的に見るとどう見えるかに触れる事ができ、写真に対する視点が増えたように感じましたし、写真展だと思って最初に見ましたが、さまざまに楽しむ事ができました。(一般)


・史涵様 本日はお世話になりました。日常、非日常との対比やあえて白黒でメッセージ性が伝わる魅せ方にする等面白い試みがたくさんあり楽しく拝見いたしました。毎日見慣れている百人町、大久保界隈にも、当たり前ですが、歴史があり、その瞬間を様々な角度から魅せていただき、改めて面白くて多様な文化が根付いている街なのだなと思いました。これから変わっていくもの、変わらないもの、毎日見てると気付かないのですが、こうやって史涵さんの写真で改めて俯瞰で見ることができ、大変有意義な時間となりました。その瞬間を切り取る写真はやはり面白いですね。本日はありがとうございました。(一般・新宿区百人町在住)


・史涵様 写真や動画、地域背景等についてさまざまなことをお教え下さりありがとうございました。実際に大久保に住んでいて外国人多いな〜と感じることが多々ある中で、「変わらないもの」について考えるきっかけになりました。貴重なお話を聞けて嬉しかったです。人間味を引き出すような素敵な表情や街並みの写真、たくさん見れて良かったです!本日はどうもありがとうございました!(一般・新宿区百人町在住)


・新大久保の展示に数回行って、この展示も見たくて来ました。「OKUBO」のバックナンバーなどが読めてよかったです。

ネパールレストラン目当てで行っていた大久保ですが、史涵さんの展示をきっかけに他のお店や風景にも目がいくようになりました。ありがとうございます。(一般)


御礼

本展の宣伝にあたりましては、以下の皆様にご協力をいただきました。心より御礼申し上げます。


中央大学図書館総務課

中央大学図書館国際機関資料室

中央大学文学部事務室

中央大学経済学部事務室


また、史涵さんの写真展『混合の地域:大久保老舗物語』の被写体となられた4店舗の皆様にも、写真を再度展示させていただいたことへの御礼を申し上げます。


関西風手打ちうどん伊予路

アイヌ創作料理ハルコロ

大久保スタジオM

中華料理興福楼



企画展の開催レポートは以上となります。

今後とも中央大学文学部社会学研究室をよろしくお願い致します!