専攻紹介
社会学コロキウム
2020年度
第1回
日時:2020年8月27日(木)15:10~18:00
方法:Webex利用
報告者:首藤明和(中央大学文学部社会学専攻教授)
「中国社会で研究し、中国社会を研究するということ」
司会:矢野善郎(中央大学文学部社会学専攻教授)&鈴木将平(中央大学大学院文学研究科博士後期課程)
※参加自由。URLをお伝えするので必ず事前申し込みをお願いします。
主催:中央大学大学院文学研究科社会学専攻
【首藤明和氏の紹介】
1970兵庫県西宮市生まれ。中央大学文学部社会学専攻教授。神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。博士(学術)。兵庫教育大学大学院学校教育研究科准教授、長崎大学多文化社会学部教授を経て現職。1998年~2000年、中国社会科学院社会学研究所客員研究員。2012年、北京大学現代日本研究センター「現代日本の社会文化・社会教育学(博士課程)」担当 派遣教授ほか。著書として、首藤明和『中国の人冶社会――もうひとつの文明として』(日本経済評論社、2003年)、首藤明和・落合恵美子・小林一穂『分岐する現代中国家族――個人と家族の再編成』(明石書店、2008年)、首藤明和・王向華編『日本と中国の家族制度研究』(風響社、2019年)ほか多数。
2019年度
第1回
日時:2019年10月4日(金)15:00~18:00
場所:中央大学多摩キャンパス2号館5階2505教室
報告者:土野瑞穂(明星大学教育学部)
「ジェンダーの視点から「人間の安全保障」を調査するということ」
<講演概要>
これまで「人間の安全保障」が議論されるとき、主に開発途上国での調査データをもとに、紛争や大規模な人権侵害等が起こっている「開発途上国の問題」として語られるこ とが多かった。しかしジェンダーの視点から捉えた場合、「人間の安全保障」は開発途 上国あるいは戦時に限った課題ではないことが浮かび上がる。本講義では、人々の安全 ・安寧を脅かす要因の一つにジェンダーが深くかかわっていることを示す調査データをもとに、ジェンダーの視点から「人間の安全保障」の再考を試みたい。
<事前に読んでおくと良い参考文献>
(1)長有紀枝2012『入門 人間の安全保障−恐怖と欠乏からの自由を求めて』中公新書のうちの以下の3章
第3章「人間の安全保障」概念の形成と発展(pp.83-109)
第4章「人間の安全保障」の担い手(pp.110-136)
第5章「恐怖からの自由」と「欠乏からの自由」(pp.137-172)
※当日の講演では「人間の安全保障」の内容についてはさほど深くは言及しないが、念のため入門書として紹介する。
(2)岡野八代2015『戦争に抗する−ケアの倫理と平和の構想』岩波書店
第9章「安全保障」を問い直す(pp.192-216)
(3)田中かず子編『アジアから視るジェンダー』ICU21世界COEシリーズ第7巻、風行社、秋林こずえ2008「ジェンダーと人間の安全保障−アジアから」(pp.55-69).
**リーディングの負担が多いようなら(2)と(3)の文献だけでもよい
第2回
日時:2019年11月28日(木)13:30~16:30
場所:中央大学多摩キャンパス2号館5階2565教室
報告者:流王貴義(東京女子大学現代教養学部)
「「社会」を理論的に語れたのはなぜか―社会調査の技法との対比を通じて」
※途中入退室自由・事前申し込み不要。
<講演概要>
限定されたデータを素材として,それを越えた「社会」に接近しようとする.サンプリングの手法やケース選択の戦略性といった社会調査の技法は,このような方向性をあるべき社会学的な研究として堅持しようとする際の主要な拠り所である.ではこのような研究戦略において理論はどのように位置づけられてきたのか.本講演では,社会学における理論の位置づけの吟味を通じて,学史・理論研究のとりうる方向性の 1 つを提示したい.
<事前に読んでおくと良い参考文献>
岸政彦ほか,2018,『社会学はどこから来てどこへ行くのか』有斐閣の第 6 章と第7 章
第3回
日時:2020年1月10日(金)13:30~16:30
場所:中央大学多摩キャンパス2号館5階2506教室
報告書:仁平典宏 (東京大学大学院教育学研究科)
「社会調査から見る「市民社会」」
※途中入退室自由・事前申し込み不要。
<講演概要>
近年、NPO・NGOの活動やボランティア活動の活発化など背景に、市場や国家が生み出す問題を改善・変革する領域として、「市民社会」に対する期待が高まっている。それは往々にして理念的に捉えられがちだが、その実相に迫るためには、計量社会調査を通じた把握も重要である。日本の「市民社会」は、階層構造、意識構造、資源調達構造、言説・表象等において、どのような特徴を持ち、問題に直面しているのか、複数の社会調査を通じて検討していく。
<事前に読んでおくと良い参考文献>
(1)仁平典宏、2019年、「サードセクター組織のビジネスライク化と雇用」(後房雄・坂本治也編『現代日本の市民社会――サードセクター調査による実証分析』法律文化社 pp.184-199)
(2)三谷はるよ、2014 年、「「市民活動参加者の脱階層化」命題の検証――1995 年と2010年の全国調査データによる時点間比較分析」『社会学評論』65(1)
2018年度
第1回
日時:2018年5月11日(金)13:20~14:50
場所:中央大学多摩キャンパス3号館3257教室
報告者:伊藤智樹(富山大学人文学部准教授)
「セルフヘルプ・グループ/ピア・サポートをめぐる社会学――活動のこれまでと今をかえりみる」
司会:天田城介(中央大学文学部社会学専攻教授)&鈴木将平(中央大学大学院文学研究科博士後期課程)
※参加自由。事前申し込み不要。
【伊藤智樹氏の紹介】
伊藤智樹(いとう・ともき)。富山大学人文学部准教授。1972年愛媛県生まれ。さまざまな病いを持つ人々が支え合うセルフヘルプ・グループを中心に調査を行いながら、「病いの語り(illness narrative)」研究を行う。著 書『セルフヘルプ・グループの自己物語論――アルコホリズムと死別体験を例に』(ハーベスト社、2009年)、編著として、崎山治男・伊藤智樹・佐藤恵・三井さよ編『<支援>の社会学―現場に向き合う思考』(青弓社、2008年)、伊藤智樹編『ピア・サポートの社会学――ALS、認知症介護、依存性、自死遺児、犯罪被害者の物語を聴く』(晃洋書房、2013年)ほか多数。
主催:中央大学大学院文学研究科社会学専攻
第2回
日時:2018年12月17日(月)16:40~18:30
場所:中央大学多摩キャンパス3号館3103教室
報告者:青山薫(神戸大学大学院国際文化学研究科教授)
「当事者がコミットする研究プロジェクトにおける研究倫理」
司会:天田城介(中央大学文学部社会学専攻教授)&鈴木将平(中央大学大学院文学研究科博士後期課程)
※参加自由。事前申し込み不要。
主催:中央大学大学院文学研究科社会学専攻
【青山薫氏の紹介】
青山薫(あおやま・かおる)。神戸大学大学院国際文化学研究科教授。1986年法政大学社会学部卒業、1995年英国ウォーリック大学にて修士号(ジェンダーと開発)取得、2005年英国エセックス大学大学院にて博士号(社会学)取得。エセックス大学社会学部教務助手、タイ王国国立研究院外国人研究員、東北大学法学研究科CEO研究員、京都大学文学研究科グローバルCOE助教、神戸大学国際文化学研究科准教授を経て、2014年4月から現職。主著として、AsianWomen and Intimate Work, Brill(2014、落合恵美子と共編著)、『ジェンダー論をつかむ』有斐閣(2013、千田有紀・中西祐子と共編)、Thai Migrant SexWorkers from Modernisation to Globalisation,Palgrave/Macmillan(2009)、『セックスワーカーとは誰か――移住・性労働・人身取引の構造と経験』大月書店(2007)ほか多数。
第3回
日時:2019年2月28日(木)16:40~18:30
場所:中央大学多摩キャンパス2号館2564教室
報告者:湯川やよい(東京女子大学現代教養学部特任講師)
「アカデミック・ハラスメントの社会学」
司会:天田城介(中央大学文学部社会学専攻教授)&鈴木将平(中央大学大学院文学研究科博士後期課程)
※参加自由。事前申し込み不要。
主催:中央大学大学院文学研究科社会学専攻
【湯川やよい氏の紹介】
湯川やよい(ゆかわ・やよい)。東京女子大学現代教養学部特任講師。2012年7月、一橋大学大学院社会学研究科地球社会研究専攻博士課程修了(博士(社会学)取得)。2012年8月~2015年3月、日本学術振興会特別研究員PD(広島大学)を経て、2016年4月から現職。専門は社会学(教育社会学)、ジェンダー・セクシュアリティ研究。様々な社会問題を、主に質的な調査法を用いて考察すると同時に、分野横断的な探究や理論構築のもつ可能性についても、研究する。単著として、『アカデミック・ハラスメントの社会学――学生の問題経験と「領域交差」実践』(ハーベスト社、2014年)、分担執筆として、「承認の臨界を考える;あるぺドファイル(小児性愛者)男性の語りから」田中拓道編『承認――社会哲学と社会政策の対話』(法政大学出版局、2015年)ほか。論文として、「アカデミック・ハラスメントの形成過程――医療系女性大学院生のライフストーリーから」『教育社会学研究』第88号:163-184(2011年)ほか多数。2015年9月、第2回日本教育社会学会国際活動奨励賞、第6回日本教育社会学会奨励賞(著書の部)受賞。