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鈴木 恭子
専門分野:産業・労働社会学
日本の労働市場のどこに格差や不平等が存在しているのかを計量分
https://researchmap.jp/
Q&A
社会学とはどのような学問でしょうか。
社会学とはさまざまな「視点 Perspective」の束である、といわれます。たしかに「これが社会学だ」とシンプルに定義することは難しいのですが、他の学問と比べるとその特徴がみえてきます。たとえば「経済学」(いわゆる新古典派経済学)というものは、ひとつの統一的な理論体系に基づいて構成されているといえます。ところが、社会学ではそのような中核的な理論体系というものはありません。かわりに社会学では、たくさんの、さまざまな社会の見方が育まれてきました。その一つ一つがいわば理論体系であり(断片的だったり部分的だったりで、体系とよぶのは大げさですが・・)、それらは私たちが暮らす社会をまったく異なる視点からまったく異なる方法で切り取ります。つまり、社会学を学ぶということは、私たちがどのように社会をみるのかという、その方法の複数性を学ぶということなのだと思います。それはまた、「自分はこのように社会を見る」という自分自身の選択と不可分であり、自分のよって立つ場所を自覚し問い直すことも社会学らしさであると思います。世の中のありきたりな見方をつまらないと感じる時、自明に見えている自分の暮らす社会をもっと深く知りたいと思った時、ぜひ社会学を学びに来て下さい。
好きな社会学者を教えてください。
私は、日本の労働問題や労働市場における格差や不平等を研究テーマにしています。「労働研究」というのは社会学にとどまらず、経済学・経営学・法学などと接する学際的なフィールドですので、私自身も社会学以外の分野からたくさんの影響を受けました。たとえば、経済学者のMicheal J. Pioreは、経済学理論における労働市場の見方を批判し、現実の労働市場に存在する分断や差別に光をあてて、経済学の主流派に論争を挑みました。Iris Marion Youngは政治哲学者ですが、貧困などの社会問題を自己責任とする新自由主義を批判し、人々のもつさまざまな「差異」が社会のなかでどのような政治的プロセスを経て差別や不平等につながるのかを探求し、「構造的不正義」という考え方を打ち出しました。Joan W. Scottは歴史学者ですが、労働史が長らく「女性」を周縁化してきたことをふまえて「ジェンダー」概念を鍛え上げ、暗黙のうちに男性中心であった「知」のあり方を問い直しました。私がインスピレーションを受けてきた彼らの研究に共通するのは、既存の学問の主流派の理論に、真っ向から闘いを挑んだということにあるよう思えます。そしてそれは、彼らがいわゆる「社会学者」ではないとしても、とても社会学的なものであると感じます。
どうして社会学者になろうとしたのでしょうか。理由や経緯などを教えてください。
社会学との最初の接点とも言えるのは、中学校か高校の国語の教科書で見田宗介さんの文章に出会って、その面白さに深く感動したのですが、当時は社会学者であるとは知りませんでした。大学で社会学を専攻に選んだのは、人気の学科だし就職でも不利にはならないだろう、というくらいの理由だったと思います。進学してみたら、社会学はとても面白かった。一つの社会、一つの現象に対して全く異なる多様な見方があるということに魅了されたし、また授業を通じてフェミニズムに出会ったことはその後の人生を大きく助けてくれました。大学卒業後はコンサルティング会社に就職したのですが、そこから数年はコンサルティングの仕事と研究者を目指す道との間でしばらく迷いました。そのうち「どちらもやりたいし、どちらも必要だ」と思いが定まり、自分は両方やろうと決めました。結局、コンサルティングの世界で10年以上を過ごした後、あらためて研究者を目指して大学院に入りました。社会学者になったといえるのは、そこからさらに10年以上経ってからです。振り返ると、最初から社会学者になろうとしたというよりも、その時々の状況に導かれて現在に至るように思います。
近年の研究テーマを3つほどあげて、どのような研究に取組まれているかご紹介ください。
1.日本の労働市場の格差や不平等の構造:
日本の労働市場において格差や不平等がどこに存在しているかを、公的統計や大規模な社会調査データを用いて計量的な分析によって明らかにしています。日本の労働市場ではだれもが同じ条件で競争できるわけではなく、性別や企業規模や雇用形態といった要因が、さまざまな構造的制約を構成します。労働市場がどこでどのように分断されているのか、「構造」という観点に着目して明らかにしようとしています。
2.日本の労働社会の歴史的形成:
日本の労働市場における雇用慣行やそれを支える社会的な規範が、どのような過程をへて形成されてきたのかを、歴史的な観点から考察します。長らく当然視されてきた見方――長時間労働・異動/転勤へのコミットメント・雇用形態間/企業規模間の賃金格差などが、どのような政策やそれをとりまく言説によって説明され、当然のこととみなされるに至ったか、またその中で労働者自身の運動である労働組合はどのような役割を担ってきたかを明らかにすることに取り組んでいます。
3.「仕事の質」とウェルビーイング:
ある人の仕事の状態の良し悪しは、これまで多くの場合「賃金」によって評価されてきました。しかし、「仕事の質」は賃金だけで決まるのではなく、負荷の種類や大きさ、あるいは仕事をこなすための資源がどのくらいあるかも重要です。また、働くことは私たちの生活の大きなウェイトを占めるとはいえ、仕事にとどまらない「生活の質」を多面的にとらえることも重要です。「ウェルビーイング」の概念を手がかりに、私たちの仕事と生活の質をとらえそれを改善するアプローチについて研究しています。
学部の主な担当授業を教えてください。また、そこではどのようなことを教えられていますか。
・社会構想論
産業・労働社会学に関連するトピック、たとえば「賃金とはなにか」「労働市場のジェンダー格差」「ウェルビーイングと労働」などを講義します。
・社会調査法・統計分析
文学部なので、学生は数字や数学に苦手意識を持っている人も多いと思いますが、勿体ないことです。データ分析に関わる知識やスキルは、みなさんが社会に出てから色んな場面で求められる、非常に有用で大事なスキルです。数学が苦手でもできることは多いし、上手く教えてもらえば難しいものではない。各自のペースで分かること・できることを増やして、データ分析の面白さを感じてもらえればと思います。
大学院の主な担当授業を教えてください。また、そこではどのようなことを教えられていますか。
・Global Sociology
こんにちの世界における最大の問題のひとつが、不平等や格差の拡大です。授業では、不平等と格差の問題に取り組んだ社会学者の論考を、様々な切り口に焦点をあてて取り上げます。
・社会構想論特講
社会を「構造」という観点から考察した社会学者――ギデンズ、ブルデュー、フーコーなどを取り上げて議論します。
ゼミではどのような研究ができますか。また、先生のゼミの特徴を教えてください。
ゼミでは、「仕事」や「働く」ということに関心がある人や、計量分析で論文を書きたいと思っている人を歓迎します。
3年生では、「問いをたてる」ということをキーワードにして、自分の問題関心の中から取り組みたい問いを見つけ、ブラッシュアップすることを目指します。前期は、研究とはなにか・論文とはなにかを理解し、研究に必要な「読む」「書く」「発表する」などの基礎的スキルを身につけることを目指します。後期は参加者の希望に応じて、計量分析を用いた文献や論文を輪読したり、実際のデータを用いたデータ分析のワークショップを行います。4年生は研究スキルや方法論について理解を深めつつ、自分の研究テーマを決めてデータ分析や論文執筆に取り組みます。データ分析は苦手だけど関心はある、という方も歓迎します。
学部1~2年次で読んでほしい本をあげてください。
こんなに沢山の優れた本が溢れているなかで、何をおすすめすれば良いのか。私のほうが、みずみずしい感性を持つ皆さんに、おすすめの本を教えて頂きたいです。社会学の本については、すでに沢山のすぐれた読書案内があります。たとえば、竹内洋『社会学の名著30』(ちくま新書)(https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480064196/)には、社会学の歴史を作った名著が数多く紹介されていますから、社会学の本を知りたいという人はぜひそちらをご覧下さい。
大学1~2年生といえば、精神的にも物理的にも家族から離れて、自分で自分の世界を広げて深めていくときですね。これまでふれる機会のなかった世界に出会うこともあるでしょう。自分が惹かれる本、面白そうだと思う本を、小説でも何でも、好きなだけ読んでほしいと思います。ここでは、私が最近読んで印象深かった本を紹介します。
・NHK「ワタシたちはガイジンじゃない!」取材班(編), 2023, 『ワタシたちはガイジンじゃない!』 日系ブラジル人「笑い」と「涙」30年の物語, 春陽堂書店.(https://www.shunyodo.co.jp/shopdetail/000000000867/)
2020年12月にNHK BS1スペシャルで放映された番組を元にしています。(https://www.nhk.jp/p/bssp/ts/6NMMPMNK5K/episode/te/B1MQVM4NP7/)宮藤官九郎脚本、イッセー尾形一人芝居で、日系ブラジル人が住む団地の一角で公開収録されました。
ずっと以前から日本には多くの「外国人」が暮らしているのに、私たちの多くはそれを見ようとせずに来てしまったのだなと痛感します。どのように皆が共に生きる社会を作っていけるのかを考えるには、彼らはどのように暮らしどのような困難に直面しているのか、まずは知ることから始めたいと思いました。
・中島幸子, 2013, 「マイ・レジリエンス―トラウマとともに生きる 単行本」, 梨の木舎.( https://nashinokisha.theshop.jp/items/3686560)
著者は大学に入るとまもなく、交際していた相手からいわゆるデートDVを受けます。家族と一緒に住んでいても、4年半ものあいだ、命の危険を感じながらも、そこから逃げることができなかった。暴力がどのように私たちに忍び寄り、人生を支配してしまうのか。どうやってそこから逃れ、生き延びることができるのか。それを知っていたら、少しは危険を遠ざけることができるのだろうかと考えさせられました。
・シンジア・アルッザ, ティティ・バタチャーリャ, ナンシー・フレイザー (著),2020,「99%のためのフェミニズム宣言」, 人文書院. ( https://www.jimbunshoin.co.jp/book/b525370.html?srsltid=AfmBOor7lRXIP8gftbhx8E_kTEmFsDJF6DsD3qt_hBZpyRVMXdTU0pGS)
「私たちはまだ連帯できる――ほんとうの敵は資本主義だ」。私はジェンダー格差を研究しながら、ときどき「男性vs.女性という枠組み自体が不毛なのではないか・・」と感じることがあります。性別でもなんでも使えるものは貪欲に利用する資本主義に、私たちはどのように対峙することができるのか。ひどいことばかりが起きるこんな世界でも、私たちはきっと世の中を良くしていくことができる、と思わせてくれる本です。
学部3~4年次で読んでほしい本をあげてください。
3~4年生にもなると、自分のこれからの進路を考えることも増えるし、本を読む力というのも格段に上がってきます。この年齢で出会った本は、その後生涯にわたって影響を受けることも少なくないように思いますので、自分に必要な本に巡り合うことができるようしっかりアンテナを立てておいて下さい。皆におすすめできる本というのは難しいのですが、いまの私が、もし二十歳の自分に会ったら薦めたいと思う本を挙げます。
・ヴァージニア・ウルフ (片山 亜紀 訳), 2015= 1929, 「自分ひとりの部屋」, 平凡社.
(https://www.heibonsha.co.jp/book/b201163.html)
ウルフはイギリスの小説家で、フェミニズムのさきがけとなる思想をもたらした人です。彼女はケンブリッジ大学に所属しながら(でも、男性のように堂々とではなく、女性であるというためにいくらか中途半端に所属しながら)、なぜこれまでずっと女性の地位は低いのか、どうすれば社会で重要な仕事ができるかということについて、ケンブリッジの街を散歩しながら思索します。読みながら、自分の中に彼女の思索につながる細い糸のようなものがあるように感じて、私たちの社会は、女性の地位は、そこからどれほど進めたのだろうかと思いをはせました。
・岡真理, (2019=2000)「彼女の『正しい』名前とは何か 新装版 -第三世界フェミニズムの思想-」, 青土社.
(http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=3333)
私はもともとこの本(の元になった論考)を自分が大学生だったときに購入したのですが、その当時はついに読む機会がありませんでした。最近になってあらためて読む機会を得て、深く感銘を受けると同時に、自分がこの本に「出会い損なって」20数年間を過ごしたことについて思いをめぐらしました。20代のときに読んでいたら、いまと同じように理解できたでしょうか。難しかったようにも思うし、今よりももっとよく理解できていたかもしれません。
・ジュディス・バトラー (佐藤嘉幸, 清水知子 訳), 2022=2020, 「非暴力の力」, 青土社.
(http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=3707)
著者は、この半世紀、フェミニズムの思想を牽引してきた第一人者です。私自身の研究も、彼女の思想に多くを負っています。バトラー自身はユダヤ人でありながら、2023年10月以降のイスラエルのガザ攻撃に、強く反対する姿勢を貫いていることも知りました。じつは私はこの本をまだ読んでいません。でも次に読みたい本のリストの筆頭ですので、ここに挙げてみました。授業で、ゼミで、一緒に読む機会があると嬉しいです。
高校生や大学生に向けてメッセージをお願い致します。
冒頭で、社会学には沢山の見方、アプローチがあるという話をしました。自分の眼の前にある現実が、自明で当たり前のものではなく、いまとは別のありようがあるのだと知ることは、人を自由にしてくれます。人は大人になる過程で、家庭や学校においてたくさんの不自由を身につけます。大学で学ぶということは、これまで身につけてきた常識の鎧を自分自身で解除して、今よりも少し自由になるということに通じるのだと思います。たったひとつの授業、ひとつの文章が、自分の世界を変えていくことがある――そのような良き経験が皆さんに訪れることを願っています。
先生の主な研究業績を5つほどあげて、その内容をご紹介ください。
詳しい業績はresearchmap(https://researchmap.jp/kysuzuki)をご覧下さい。以下にいくつかピックアップします。
・以下は広く専門外の人に向けて書いたものです。
・鈴木恭子, 2023, 「なぜWell-beingを『幸せ』と訳すのでは足りないか?」, JILPTリサーチ・アイ, No.79
(https://www.jil.go.jp/researcheye/bn/079_231129.html)
・鈴木恭子, 2024, 「どのような賃上げを望むのか―企業の枠を超える」, 『DIO』2024年3月号
(https://www.rengo-soken.or.jp/dio/dio397-1.pdf)
・鈴木恭子, 2024, 「「バトンは渡された」(書評 クラウディア・ゴールディン著『なぜ男女の賃金に格差があるのか:女性の生き方の経済学』(慶應義塾出版会)」, 『改革者』2024年3月号
(https://researchmap.jp/kysuzuki/misc/45673993/attachment_file.pdf)
・以下は学術論文です。
・鈴木恭子, 2024,「『労働市場の二重性』をめぐる議論と圧縮された近代化」,『社会政策』, 15(3): pp.131-141.
労働市場の二重性にかかわる議論(二重構造論)を取り上げ、労働市場の二重化は欧米でも経験された事象ながら、その議論のされ方にどのような特徴があったのかを考察しました。異なるものがきちんと区別して議論されなかったという問題が、日本の近代化のタイミングとスピードに規定されていた可能性を指摘するとともに、それが労働市場に対する理解の多様性を閉ざしてしまい、雇用形態間格差の深刻化につながっていることを示唆しました。
・鈴木恭子, 2023, 「ジェンダー格差と雇用形態間格差の交差性」, 『日本労務学会誌』, 24(2): pp. 42-54.
(https://researchmap.jp/kysuzuki/published_papers/44128699/attachment_file.pdf)
日本の労働市場における深刻な問題である男女格差が、なぜ1985年に雇用機会均等法が制定された後もいっこうに解消されなかったかを議論しています。それまでの男女差別の問題は、実質的に雇用形態間格差の問題へと引き継がれましたが、労働法とその法解釈が両者を異なる問題として扱ったために、問題が見失われてしまったことを指摘しました。
・鈴木恭子, 2023, 「労働に「将来」を読み込む思考はどう構築されたか―工場法制定過程におけるジェンダーの差異化―」, 『社会政策』, 14(3): pp.132-143.
(https://researchmap.jp/kysuzuki/published_papers/41040314/attachment_file.pdf)
「将来の働き方への期待」が現在の処遇を規定するという日本企業の特徴が形成された契機として、「工場法」の制定過程をとりあげました。西欧諸国にならった近代化の一環であった工場法の制定ですが、その議論の過程で女性労働がどのように言及され定義されてきたかを検証すると、国家・労働・ジェンダーの関わりにおいて欧米には見られない日本独自の特徴が刻印されていることを指摘しました。
・鈴木恭子, 2018「労働市場の潜在構造と雇用形態が賃金に与える影響--Finite Mixture Modelを用いた潜在クラス分析」, 『日本労働研究雑誌』, 698: pp.73-89. 2018年9月
(https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2018/09/pdf/073-089.pdf)
日本の労働市場が正規雇用/非正規雇用によって二分されるという見方に異を唱え、潜在クラス分析(Finite Mixture Model)という手法を用いて、通説とは異なる分断の存在を明らかにしました。分析の結果、労働市場はたしかに2つの異質なセグメントから構成されるものの、その区分線は雇用形態とは重ならずそれを横断するかたちで存在します。正規雇用の約4割は実質的に非正規雇用と区別できない処遇水準・特徴を持つことを明らかにしました。
・鈴木恭子, 2023, 「労働市場でスキルはどう評価され男女格差に関連するか――性別・学歴・スキル・職業からみた労働市場の構造比較――」, 『人口問題研究』, 79(4): pp.331-359
(https://www.ipss.go.jp/syoushika/bunken/DATA/pdf/23790406.pdf)
労働市場において性別・学齢・スキル・職業が、どのような経路を経て賃金にどの程度の影響を及ぼすかという構造を、イギリスと日本で比較しました。その結果、イギリスでは高学歴を得ること、高いスキルを得て、高スキルを要する職業に就くことが、男女賃金格差を縮小するメカニズムになっているのに対して、日本ではそうした効果がみられないことを明らかにしました。また、イギリスでは高いスキルが学歴とは別に評価されるのに対して、日本では学歴を伴わない限りスキルが評価されないことを明らかにしました。
・鈴木恭子, 2020, 「労働組合の存在と正規雇用の賃金との関連――かたよる属性, 差のつく賃金カーブ, 広がる年齢内格差――」, 『大原社会問題研究所雑誌』, 738: pp.67-90.
(https://oisr-org.ws.hosei.ac.jp/images/oz/contents/738_06.pdf)
労働運動の存在が労働市場における賃金の分布にどのように関連するのか、いわゆる「組合賃金プレミアム」の推定を行いました。実質的な賃上げが一向に進まず格差や働き方の問題が山積するこんにち、労働者・生活者としてどのようにより良い社会を求めていけるのか、労働運動の意義を再考することが重要だと考えます。
・著書 (分担執筆)
・鈴木恭子, 2023, 「コロナショックにおける「レジリエンス」―回復の軌跡における異質性―」, 樋口 美雄/労働政策研究・研修機構編, 『検証・コロナ期日本の働き方ー意識・行動変化と雇用政策の課題』, 慶應義塾大学出版会.
新型コロナウィルスのパンデミックに際して、人々の収入とウェルビーイングがどのように変化し回復したのか、その軌跡のパターンを分析しました。企業に雇用される人と比べて自営業では収入が急激に減少する人の割合が高く、またその影響も長引いています。また、女性・非正規雇用・中小企業勤務の人など、もともと労働市場において弱い立場にある人が収入減少に見舞われました。政府は巨額の雇用調整助成金などを支給して雇用を支えようとしましたが、この分析結果は「企業」というチャネルを通じた支援の限界を示唆します。
この論文の要約版は、以下のウェブサイトでも公開されています。
鈴木恭子, 2023, 「コロナショックにおける日本社会の『レジリエンス』」JILPTリサーチ・アイ No.77
(https://www.jil.go.jp/researcheye/bn/077_230519.html)